勉強に取り組む上で、学んだ内容を効率的に記憶する方法を探ることはとても重要です。ここでは、「忘却曲線」という心理学の概念を通じて、学習の効率を上げる方法について解説します。
忘却曲線は、心理学者ヘルマン・エビングハウスによって提唱された理論で、私たちが新しい情報を学んだ後、どれくらいの速度で記憶を失うかを示したものです。エビングハウスの忘却曲線によれば、人は学んだことを時間とともに急速に忘れる傾向があり、24時間後には約70%の情報を忘れるとされています。ただし、定期的に復習を行うことで、忘却のスピードが緩やかになり、長期間記憶を維持しやすくなります。
それでは、学んだ内容をしっかり覚えておく方法として、忘却曲線を活かした効率的な学習方法について詳しく解説していきます。この方法を取り入れることで、長期的な記憶定着が期待できます。
復習のタイミング
復習は、忘却曲線の傾きが急なタイミングで行うと効果的とされています。例えば、忘却曲線の傾きに合わせて復習のスケジュールを設定すると、このようなスケジュールになります。
- 1回目の復習:学習後24時間以内に復習。
- 2回目の復習:2~3日後に復習。
- 3回目の復習:1週間後に復習。
- 4回目の復習:1か月後に復習。
毎日繰り返し復習するよりも、復習の間隔を少しずつあけていくことで「忘れたころに思い出す」という作業が発生するため、より記憶が定着しやすくなります。
一度の勉強時間は20~30分が目安
スケジュールを設定したら、次は1回の勉強時間について考えていきたいと思います。結論からお伝えすると、1回の勉強時間を短くして、何度も繰り返すことで効率よく学べます。例えば1日に数回、20~30分の短時間で集中的に勉強を行うと、長時間集中して勉強するよりも効果的です。1日に数回、短時間で集中的に勉強を行うのが効果的な理由は、人間の集中力の持続時間や記憶の仕組みに関連しています。
集中力の持続時間は限られている
人間の集中力には限界があり、通常は20~30分程度が最も効率的に集中できる時間だとされています。この現象はポモドーロ・テクニックなどの学習法でも知られており、短い集中時間を繰り返す方が効果的にタスクをこなせるとされています。私たちの脳が記憶をする時、短期記憶から長期記憶に変換される過程で「休息と反復」を必要とします。つまり、休憩を挟まずに長時間勉強することが必ずしも記憶力の定着につながるとは限らないのです。
勉強は時間より量がキーワード
長時間集中して勉強することは、記憶の質を低下させるだけでなく、ストレスや疲労感を引き起こす原因にもなります。かと言って、心身の状態によっては10分も集中できないという場合もあると思うので、勉強や復習をする際は「20~30分くらい取り組もう」と時間で区切るのではなく、「とりあえず5問だけ解いてみよう」と自分が最大限取り組めそうな量よりも少し少なめに目標を決めたほうが良いでしょう。
(余談ですが、筆者が時間で区切って勉強した際、途中で集中力が続かずに小休憩をこまめに挟んだ結果、トータルで20~30分くらい勉強できたか曖昧になってしまい、勉強したものの達成感を得られないこともしばしばありました。一方、勉強量を決めて取り組んでいた際は、「まず5問やってみよう(達成したらさらに5問…)」と、短時間で達成できる小さな目標を設定することで達成感を得やすくなり、モチベーションも維持しやすかったです。)
次に、効果的な勉強方法についてお伝えしたいと思います。
アクティブリコールを活用する
アクティブリコールとは、学んだ内容を思い出す練習をする方法です。学んだ内容を紙に書き出すと効果的だと言われていますが、私の場合は参考書のページの端に自分で考えた一問一答を書き込んでいました。
例えば、「老人福祉法は1963年に日本で制定された」と書かれている参考書のページの上に「Q,老人福祉法が制定されたのは1946年である」と書き込む感じです。また、一問一答を考える際は、正解と不正解の問題をランダムに作っていくのですが、不正解の問題を作るコツとして「他の知識と紐づいた情報で誤答を作る」ことを心掛けていました。先ほどの問題の場合は、「1946年に制定されたのは旧生活保護法である」という感じです。この時、答えや解説をそのまま書くのではなく、参考書のページ数で表記することによって、問題の解説を書く手間やノートをとる時間を省いていました。また、正答を探すためにページ内を隈なく読まなくてはいけなくなるため、その知識に付随した他の知識も視覚的に得やすくなります。
間違えた部分を重点的に復習
間違いは学習効果を高める良いキッカケとなります。テストや一問一答で間違えた箇所を中心に復習する際、アクティブリコールと絡めて間違えた問題すべてに一問一答を作成していましたが、参考書のページの端のスペースにも限りがあるので、最終的にはよく間違える問題に絞って作成するようにしていました。よく間違える問題や覚えられない箇所に正の字を書き込み、正の字が完成したら一問一答を作るという感じです。自分の中でルール化することで、ゲーム感覚で勉強に取り組むことができます。
マインドマップを活用
これは一般論ですが、学んだ内容を視覚的に整理することで記憶の補助が期待できるとされています。例えば、学んだ内容を文字だけでなく、絵に描いて整理するという感じです。ただし、個人的にはあまりオススメしません。これは性格に左右されるところが大きいと思うのですが、私の場合は文字や絵を描くことで「字が真っすぐ書けなかった」とか「もっとキレイにイラストを描きたい」とか、変な方向に気を取られてしまうことがしばしばありました。ですので、そういうのを気にせずにアウトプットできる方には向いている学習方法ではないかと思います。
皆さんは普段勉強をする時、どんな場所で取り組まれていますか?実は、同じ場所だけで勉強するのではなく、場所を変えると記憶が強化されると言われています。例えば、カフェ、図書館、自宅など複数の場所で学習することで、異なる環境が記憶の手がかりとなります。
筆者のオススメは「移動中の勉強」です。例えば、自宅からカフェや図書館へ移動する際、バスや電車を利用するとします。目的地へ移動する最中に勉強するということは、必然的に勉強時間が制限されるということです。ここで重要なのは、「勉強は時間より量」ということ。例えば、行きの移動中に5問だけ問題を解いてみる、帰りの移動中に同じ問題をもう一度同じ問題を解いてみる、家に帰ったら行きと帰りで間違えた問題の一問一答を作る…という感じです。
人間の集中力には限界があるので、時間をかけた分だけ知識が身につくとは限りません。とりあえず問題をやってみて、苦手な問題や覚えられない箇所を意識することから始めると良いでしょう。
学習ツールについて
勉強を手助けするツールが世の中にはたくさん溢れています。例えば、教科書や参考書、問題集アプリなど、選択肢がたくさんあるだけに、どれが自分に合ってるか探すだけでも時間がかかってしまうと思います。そこで、参考になるか分かりませんが、私が資格勉強を行なった際に使用した学習ツールや、今から使いたいツールなどをご紹介したいと思います。
- レビューブック
具体的には、株式会社メディックメディア「社会福祉士国家試験のためのレビューブック」です。なぜこの本がよかったかというと、今までの社会福祉士国家試験に登場したすべての問題に関連する知識がすべて集約されているからです。過去問と合わせて使用することで、より正しい知識を身に着けることができました。 - 過去問ドットコム
社会福祉士試験の過去問と解説を、第36回(令和5年度)から第27回(平成26年度)まで無料で公開しているサイトです。無料会員登録を行うことで、間違えた問題などの解答履歴を閲覧することができます。 - チャットGPT
私が受験勉強をした時にはAIを使った学習方法はありませんでしたが、もし今から資格勉強を始めるとしたら使用したいのがチャットGPTです。例えば、参考になるサイトをAIに学習させた上で、解説付きの一問一答を書いてもらうという感じです。また、学んだ内容をアウトプットすることで、正しく記憶できているかAIにチェックしてもらうこともできます。息抜きの雑談にも付き合ってもらえるので、勉強がマンネリ化するのを防ぐことができそうです。
勉強を手助けするツールを上手に使う上で意識したいのがモチベーションの維持です。勉強を開始した当初は長時間取り組むことができたとしても、日に日に飽きてしまって1週間後には手つかずに…という状況になってしまっては本末転倒です。そんな事態を回避するために、自分が最大限取り組めそうな量よりも少し少なめの小さな目標を立てるようにしましょう。例えば、「過去問を5問解く」「同じ5問の問題をすべて正解できるまで解く」などです。とりあえず問題を解いてみて、余力が残っていたら追加で問題を解くようにすると、目標達成プラスαの学習をしたことになり、学ぶことに対する自信や達成感を得ることができます。このように小さな成功体験の積み重ねが、勉強に対するポジティブな意欲にも繋がります。
また、勉強をした後は自分へのご褒美を用意すると、勉強意欲の向上になるでしょう。例えば、短い休憩を取ったり、短時間でクリアできるようなゲームを1回プレイする等です。(すきま時間に簡単に遊べるゲームとして「Two Dots」をよくプレイしていました。)
睡眠の活用
学習後に十分な睡眠を取ることで、記憶が定着しやすくなります。特に、学んだ内容を寝る前に復習すると効果的です。
運動を取り入れる
軽い運動は記憶力を向上させる効果があります。勉強後に散歩やヨガを行うことで、記憶の定着を促進します。
現代では、アプリやオンラインツールを活用することで、復習のタイミングを自動的に管理できるようになりました。たとえば、間隔をあけた復習を支援するアプリは、学習者が最適なタイミングで復習を行えるようサポートします。
忘却曲線を理解し、それに基づいた学習方法を実践することで、記憶の定着率を大幅に向上させることができます。ぜひ忘却曲線を活かして日々の学習にお役立てくださいね!